濵田暁彦医師 コラム No.103
2020/09/20(与謝野町くすぐるカード会発行「くすぐる」 vol.237 2020年10月号掲載)

「ストレス」の話:その1

このコロナ禍や大きな自然災害が続く現在、自分自身や家族、職場、仕事上で関わる人々(私なら患者さん)、テレビやネット上の人たち(芸能人や政治家)など、「世の中」の多くの世代や業界、地域の人々が、非常に大きな「ストレス」を抱えていると感じます。
 ストレスに似た言葉にプレッシャーがありますが、一説では「プレッシャー」は外界からの圧力であるのに対して、「ストレス」はそれに対する内からの抗力・防御反応で、その反応が引き起こす肉体上や精神上の不具合のことだと説明されます。また適度なストレスはプラスに働くこともありますが、過度なストレスは人を苦しめマイナスに働くとされます。
 具体的に悪いストレスとはどのようなものでしょうか?

 身体的ストレスには過重労働であったり睡眠不足、偏食や過食、運動不足、長時間のパソコンやスマートフォンの凝視や操作などが挙げられますし、精神的ストレスは、家庭、職場、地域、ネット上などさまざまな人間関係の中で自分の意に反する場合には大きなストレスを感じますし、また仕事に充実感がなかったり、性格的な傾向としては真面目で完璧主義や、心配性で緊張しやすい人、短気な人、疑い深い人、自分の意見や感情をあまり表に出さず内に溜め込む人などが、ストレスを強く感じやすいといえるでしょう。
 また最近のストレスは世界的なコロナウイルス感染症(COVID19)の急速な拡大(パンデミック)と、それによる自粛生活や在宅ワークといった孤立した生活、経済活動の急激な落ち込みによる社会と生活の大きな変化、それによる先行きに対する強い不安などが原因となっていると思われます。まさに世界中がストレスと向き合わなければならない時代となってしまいました。

 最近の研究ではストレスの感じやすさは、民族による遺伝子の違いや、環境の違いなどで異なることがわかっています。例えばヒトの脳の中にはドーパミンやセロトニンという神経から神経へと情報を伝える神経伝達物質といわれるものがあり、これらの物質が快や不快、安心や不安といった私たちの基本的な感情を引き起こしている正体なのですが、セロトニンの脳内での不足がうつ病を引き起こす原因の一つと考えられています。そしてこのセロトニンの脳内濃度には民族による違いがあり、日本人は特にこのセロトニン濃度が低いと言われています。
 つまり日本人はストレスに弱くうつ病になりやすいという事なのですが、次回はさらにこのセロトニンの脳内濃度の違いによるストレスの感じ方の違いや対処法、セロトニンと腸や腹痛との関係などについてさらにお話ししたいと思います。

執筆
濵田 暁彦

1974年京都府宮津市生まれ。1993年宮津高校卒業。1年間浪人生活を京都駿台予備校で送り翌年京都大学医学部入学。2000年京都大学医学部卒業後、京都大学医学部附属病院内科研修を1年行う。2001年京都桂病院内科に研修医として赴任。2002年京都桂病院消化器内科医員となり、2007年同副医長。2010年故郷である丹後中央病院消化器内科部長として赴任。現在丹後中央病院消化器内科主任部長兼内視鏡室室長、他に京都大学医学部臨床講師(2015年〜)、宮津武田病院非常勤を務める。モットーは「楽な胃カメラ」「痛くない大腸カメラ」。早期癌の診断治療(拡大内視鏡・食道胃大腸ESD)、胆膵管内視鏡ERCP、超音波内視鏡EUS、EUS-FNA等が専門。機能性胃腸症:FDや過敏性腸症候群:IBS、便秘などで苦しむ患者さんの治療や、様々な不定愁訴に対しても西洋医学(総合内科)と漢方医学を融合させた医療を実践中。また老衰や認知症に伴う肺炎などの終末期患者さんの看取りや、各種がんの終末期緩和ケア&看取りをこれまで多くの患者さんに行い、安らかな最期を迎えられるようチーム医療で取り組んでいる。

所属学会・認定医、専門医
日本内科学会総合内科専門医、日本消化器病学会専門医、日本消化器内視鏡学会指導医・専門医、日本ヘリコバクター学会認定医、日本膵臓学会、日本胆道学会、日本臨床細胞学会、日本食道学会、日本肝臓学会、日本腹部救急医学会、日本時間生物学会、日本臨床腸内微生物学会、日本東洋医学会