濵田暁彦医師 コラム No.110
2021/04/20(与謝野町くすぐるカード会発行「くすぐる」 vol.245 2021年5月号掲載)

「新型コロナワクチンの話〜その3【接種部位の疼痛とワクチンの効果】」


 私は医療従事者の優先接種ということで先日、新型コロナウイルスワクチン=ファイザー社のコミナティ筋注の1回目を打ちました。利き手とは逆の左上腕の三角筋に筋肉注射をしましたが、打った当初は全くと言っていいほど痛みはありませんでした。 接種後15分間は、アレルギー反応が出ないかを観察するために会場に待機していましたが、待機場所はすぐに接種を終えた人で一杯になってしまいました。一度に接種する人数に応じて待機場所の広さを確保することが重要だなと感じました。その夜就寝後、左の上腕の注射部位がうずくように痛みだし、左を下にして眠ることが困難で寝苦しい一夜を過ごしました。利き腕に打つと日常生活に差し支えるために、反対の腕に打つことが勧められていますが、それでも80%以上の人が訴える接種部の痛みは確かにあるのだと実感しました。それでもその痛みの部位で免疫反応が起きていて、コロナウイルスに対する抗体が作られているのだと想像すると、「効果がありそうだ」と期待が持てます。2回目の接種の後は、さらに疼痛や体のだるさが強く出るということを聞いていますが、それも1回目で免疫が作られている証しなのだと自分に言い聞かせて我慢するべきなのでしょうね。

 さて現在大阪を中心にコロナ第4波が起こっており、より感染力が強く重症化しやすい変異したウイルスが広がっています。日本よりも先に変異ウイルスが広がったイギリスでは、まず1回目の予防接種をなるべく早く多くの国民に行う作戦を取っていて、2回目の接種は最大3ヶ月先にまで延長しています。そのおかげで60歳以上の高齢者の約95%、全国民の約50%が1回目の予防接種を既に終えています。接種の1ヶ月後には80歳以上の高齢者の重症化を8割以上減らすことができ、コロナ感染が減少し、昨年末から続いていた厳しい外出規制も徐々に解除されています。高齢者も屋外での散歩やテニスクラブなどの活動を再開できるようになり明るい兆しが見えています。
 イギリスの2倍近くの人口を有する日本では、医療従事者の先行接種も思ったように進まず、高齢者の接種もようやく始まったばかりです。3週間後に必ず2回目の接種をしなければいけないという規則も、接種が遅れてしまう原因の一つかも知れません。イギリスのように接種間隔に幅を持たせる事で、まず1回目の接種を多くの人に行うという戦略や、感染の多い都市部で優先的に接種を行うなど、ウイルスとの戦いを有利に進めるためには、さらに臨機応変な対応を行うと良いかも知れません。
 現在起きている変異株による第4波の被害を最小限に押さえ込むためには、ワクチンを早急に効率良く多くの人に接種する事が求められているのです。

執筆
濵田 暁彦

1974年京都府宮津市生まれ。1993年宮津高校卒業。1年間浪人生活を京都駿台予備校で送り翌年京都大学医学部入学。2000年京都大学医学部卒業後、京都大学医学部附属病院内科研修を1年行う。2001年京都桂病院内科に研修医として赴任。2002年京都桂病院消化器内科医員となり、2007年同副医長。2010年故郷である丹後中央病院消化器内科部長として赴任。現在丹後中央病院消化器内科主任部長兼内視鏡室室長、他に京都大学医学部臨床講師(2015年〜)、宮津武田病院非常勤を務める。モットーは「楽な胃カメラ」「痛くない大腸カメラ」。早期癌の診断治療(拡大内視鏡・食道胃大腸ESD)、胆膵管内視鏡ERCP、超音波内視鏡EUS、EUS-FNA等が専門。機能性胃腸症:FDや過敏性腸症候群:IBS、便秘などで苦しむ患者さんの治療や、様々な不定愁訴に対しても西洋医学(総合内科)と漢方医学を融合させた医療を実践中。また老衰や認知症に伴う肺炎などの終末期患者さんの看取りや、各種がんの終末期緩和ケア&看取りをこれまで多くの患者さんに行い、安らかな最期を迎えられるようチーム医療で取り組んでいる。

所属学会・認定医、専門医
日本内科学会総合内科専門医、日本消化器病学会専門医、日本消化器内視鏡学会指導医・専門医、日本ヘリコバクター学会認定医、日本膵臓学会、日本胆道学会、日本臨床細胞学会、日本食道学会、日本肝臓学会、日本腹部救急医学会、日本時間生物学会、日本臨床腸内微生物学会、日本東洋医学会