濵田暁彦医師 コラム No.113
2021/07/20(与謝野町くすぐるカード会発行「くすぐる」 vol.248 2021年8月号掲載)

「この猛暑何とかならないの?」~「地球温暖化対策と脱炭素社会への変革」


みなさんも年々夏の猛暑が厳しくなっていると感じておられるでしょう。大気と水のある地球はもともと水蒸気・二酸化炭素・雲・オゾンなどの温室効果ガス「グリーンハウス・ガス」に覆われて、地表の気温は-17℃から14℃に引き上げられ、寒暖の差も小さく保たれています。月のように大気が無い星だと温室効果がなく、昼間(半月=15日の間)は直射日光に当たって110℃となり、夜(残りの半月間)は日光に当たらず-170℃になって、実際には「かぐや姫」も「月の兎」も生きてゆけないような過酷な環境です。つまり地球はこの温室効果ガスにより気温が保たれて生命が繁栄してきたわけですが、最近の急速な産業化・工業化の影響で主に石油・石炭・天然ガスなどの化石燃料から排出される二酸化炭素が大量に放出されたために、温室効果ガスのバランスが崩れて温暖化へ向かってしまいました。
 台風の巨大化・ゲリラ豪雨・洪水・海面の上昇などの水害や、猛暑・干ばつ・水不足・山火事などの自然災害が世界各地で頻発するようになりとても深刻です。東京オリンピックの直前にもカナダの熱波、ドイツやベルギー、中国河南省の洪水が報じられたばかりです。地球温暖化は、私たち地球上の生き物の体にも悪影響が大きく、激減する生物種が多発しています。また熱中症といった身近な病気だけでなく、本来熱帯地域の病気である「マラリア」や「デング熱」といった感染症が日本でも流行するようになると予測されています。
 地球温暖化対策は、先進国の温室効果ガス排出削減を義務付けた1997年の「京都議定書」に始まり、途上国を含む世界各国に削減目標策定の裾野を広げた2015年の「パリ協定」を経て、日本では2020年10月に菅首相の所信表明演説で「2050年までに温室効果ガス排出を実質ゼロにする=カーボン・ニュートラル(CN)」が宣言されました。アメリカではトランプ大統領が「パリ協定を脱退する」と言っていましたが、2021年バイデン大統領が就任すると直ちにパリ協定に復帰しました。先日東京オリンピックが開幕し、空中に立体的な造形美を演出したドローン群のインパクトの陰で、次世代の脱炭素エネルギーの主力である「水素」を燃料とした「聖火台」が点灯されました。また水素の「燃料電池(FC)バス」が選手村で活躍するなど将来の「水素化社会」へ向けた一歩となりました。
 今後の目標としては、エネルギーを石油などの輸入に頼らず、国産で再生可能エネルギー(グリーンエネルギー)の太陽光・風力・地熱・バイオマスを利用し、運搬可能な燃料として二酸化炭素を出さないアンモニアや水素を用いるというのが、日本が目指しているカーボン・ニュートラル(CN)=二酸化炭素排出ゼロ社会なのです。2020年2月には原発事故のあった福島に、再生可能エネルギーを利用し水素を製造する世界最大規模の「福島水素研究フィールド(FH2R)」が稼働開始するなど、今まさに地球環境に優しい「SDGs(持続可能な開発目標)」を目指した新たな産業革命が起きているのです。

執筆
濵田 暁彦

1974年京都府宮津市生まれ。1993年宮津高校卒業。1年間浪人生活を京都駿台予備校で送り翌年京都大学医学部入学。2000年京都大学医学部卒業後、京都大学医学部附属病院内科研修を1年行う。2001年京都桂病院内科に研修医として赴任。2002年京都桂病院消化器内科医員となり、2007年同副医長。2010年故郷である丹後中央病院消化器内科部長として赴任。現在丹後中央病院消化器内科主任部長兼内視鏡室室長、他に京都大学医学部臨床講師(2015年〜)、宮津武田病院非常勤を務める。モットーは「楽な胃カメラ」「痛くない大腸カメラ」。早期癌の診断治療(拡大内視鏡・食道胃大腸ESD)、胆膵管内視鏡ERCP、超音波内視鏡EUS、EUS-FNA等が専門。機能性胃腸症:FDや過敏性腸症候群:IBS、便秘などで苦しむ患者さんの治療や、様々な不定愁訴に対しても西洋医学(総合内科)と漢方医学を融合させた医療を実践中。また老衰や認知症に伴う肺炎などの終末期患者さんの看取りや、各種がんの終末期緩和ケア&看取りをこれまで多くの患者さんに行い、安らかな最期を迎えられるようチーム医療で取り組んでいる。

所属学会・認定医、専門医
日本内科学会総合内科専門医、日本消化器病学会専門医、日本消化器内視鏡学会指導医・専門医、日本ヘリコバクター学会認定医、日本膵臓学会、日本胆道学会、日本臨床細胞学会、日本食道学会、日本肝臓学会、日本腹部救急医学会、日本時間生物学会、日本臨床腸内微生物学会、日本東洋医学会