濵田暁彦医師 コラム No.114
2021/08/20(与謝野町くすぐるカード会発行「くすぐる」 vol.249 2021年9月号掲載)

「栄養のお話」~その2「健康な体格指数BMIは?筋肉の維持が重要!」


この連載の大きなテーマは「予防する医療への意識改革を!」「自分の体は自分で守る!」ということです。生活習慣病やがんなどの多くの病気は、ひどくなってしまってからでは治せなくて手遅れになることが多く、まさに「後悔先に立たず」となってしまいます。そのような患者さんを数多く診てきたために、少しでも早期に発見を目指す検診や予防が大切だと、より多くの方に伝えたいと思って書いてきました。コロナウイルスのワクチンに関しても、実際ウイルスにかかってからの症状や後遺症の苦しさに比べると、ウイルスの一部分のレプリカ(模造品)を数時間で無くなる形で体に入れる「ワクチン」の方が症状(副反応)は軽度で済む、という2つの事を天秤(てんびん)にかけると、「ワクチンを打った方が得策だ」と考えられます。
 生活習慣病の一つでもある「肥満」は、欧米ではBMI>30以上、日本ではBMI>25以上と定義されていますが、以前にお示ししたように、体格指数BMI(ボディ・マス・インデックス)は、(体重kg)÷(身長m)÷(身長m)=で計算でき、例えば156cm(1.56m)で57kgの人なら「57÷1.56÷1.56=23.4」と計算機で簡単に計算できます。逆に自分の身長で健康的なBMIの上限と下限は何kgかということも同様に計算できます。やり方は(身長m)×(身長m)×(BMI)=という計算です。健康なBMIの上限は日本では25ですから、先ほどの156cmの人で計算してみると、身長をm:メートルに直して、1.56m×1.56m×25=60.8kgが健康的な体重の上限となります。自分の身長(m)でも試してみてください。「1.〇〇m×1.〇〇m×25=上限kg」です。特に60歳までのいわゆる中年までの人はこのBMIを上回らない様に運動をして減量することが良いと考えられます。では健康的なBMIの下限はと言うと、実は年齢によって変わってきます。
 「日本人の食事摂取基準2020年版」によると、18-49歳まではBMI:18.5が下限で、先ほどの156cmの人なら1.56×1.56×18.5=45.0kg以上となります。しかし50-64歳ではBMI:20.0となり、156cmの人で1.56×1.56×20.0=48.6kg以上が健康です。65歳以上ではさらにBMI:21.5以上、つまり156cmの場合1.56×1.56×21.5=52.3kg以上が健康な体重となります。このことは高齢者ではむしろ痩せすぎが良くないということを示していて、他のデータでも65-79歳の日本人高齢者2万6千人を11年間追跡した結果、BMI:22以上とやや太っていた人の方が、BMI:22以下の痩せていた人よりも死亡率が低かったという結果や、60歳代以降では年代が上がるにつれて、死亡率が最も低くなるBMIは高くなって行くというデータが出ています。これは、高齢者では若者と違い、運動不足と食事(特にタンパク質)摂取不足が同時に起こり、「サルコペニア;筋肉減少」から様々な病気につながって行くと考えられます。逆に、高齢者は、筋肉を落とさないようにしっかりと体を動かして、タンパク質を十分に摂ることが健康を保つ上で重要だと示されています。つまり、若者は太らないために、高齢者は痩せないために(筋肉量を維持するために)、「運動が重要である!」ということなのです。

参考資料) 佐々木敏「栄養データはこう読む!第2版」女子栄養大学出版部、「日本人の食事摂取基準2020年版」第一出版

執筆
濵田 暁彦

1974年京都府宮津市生まれ。1993年宮津高校卒業。1年間浪人生活を京都駿台予備校で送り翌年京都大学医学部入学。2000年京都大学医学部卒業後、京都大学医学部附属病院内科研修を1年行う。2001年京都桂病院内科に研修医として赴任。2002年京都桂病院消化器内科医員となり、2007年同副医長。2010年故郷である丹後中央病院消化器内科部長として赴任。現在丹後中央病院消化器内科主任部長兼内視鏡室室長、他に京都大学医学部臨床講師(2015年〜)、宮津武田病院非常勤を務める。モットーは「楽な胃カメラ」「痛くない大腸カメラ」。早期癌の診断治療(拡大内視鏡・食道胃大腸ESD)、胆膵管内視鏡ERCP、超音波内視鏡EUS、EUS-FNA等が専門。機能性胃腸症:FDや過敏性腸症候群:IBS、便秘などで苦しむ患者さんの治療や、様々な不定愁訴に対しても西洋医学(総合内科)と漢方医学を融合させた医療を実践中。また老衰や認知症に伴う肺炎などの終末期患者さんの看取りや、各種がんの終末期緩和ケア&看取りをこれまで多くの患者さんに行い、安らかな最期を迎えられるようチーム医療で取り組んでいる。

所属学会・認定医、専門医
日本内科学会総合内科専門医、日本消化器病学会専門医、日本消化器内視鏡学会指導医・専門医、日本ヘリコバクター学会認定医、日本膵臓学会、日本胆道学会、日本臨床細胞学会、日本食道学会、日本肝臓学会、日本腹部救急医学会、日本時間生物学会、日本臨床腸内微生物学会、日本東洋医学会