平成27年度 研修医(地域医療研修)
研修期間:H27.10

 約一ヶ月の間、丹後中央病院の消化器内科で地域医療研修を終えたため、ご報告させて頂きます。

 丹後中央病院は、京都府北部に位置する京丹後市峰山町の中核病院として機能していました。峰山町は、野村克也監督の出身地として有名であり、人口は一万三千人程度の落ち着いた町です。周辺は山に囲まれており、猪や熊をはじめとする野生動物がたくさん出没する自然豊かな地域で、のんびりとした研修生活を送ることができました。

 研修を始めてまず驚いたのは、入院患者30人以上の病床、週に2〜3回の外来診察、市内の中規模病院と同程度の内視鏡件数にもかかわらず、常勤医師が一人しかいなかったことです。今回は、その唯一の常勤医師である濵田主任部長にご指導して頂きました。

 内視鏡検査室は、少ない医師数にもかかわらず高度な医療を提供する場として機能していました。上部下部消化管の検査のみならず、ESD等の高度な技術も目の当たりにし、また緊急止血術はもちろん、胆管炎に対する緊急ERCP + ESTにも対応できる救急体制には大変驚きました。濵田先生の豊富なご経験とコメディカルスタッフのサポートのおかげだと感じた次第です。和気あいあいとした雰囲気で、楽しい時間を過ごすことができました。介助をはじめとした手技の指導も頂き、良い経験ができたと思います。

 外来業務では訪れる患者の数に、ただただ驚くばかりでした。患者も高齢者が多く、さらに言えば付き添いのご家人も高齢者です。「仕事を抜けて、親の付き添いで来ました」というような患者はごく少数でした。親子で同じ病棟に入院している高齢家族もあり、地域の高齢化問題は無視できないようです。

 以上のように、大変忙しい病院ではありましたが、医療の質が保たれておりました。しかし月並みな言葉ではありますが、医師不足を実感しました。もう少し医師がいれば、より良い医療が提供できるのでは?とも思います。医師が足りない状況でも、医師をはじめ多くの医療従事者が地域の医療を支えている姿を生で感じることができたのは、大きな収穫です。

 地域の食材を使った食事を先生や後輩と囲む機会もあり、オフの時間も充実し楽しい一ヶ月を過ごすことができました。

 研修を終えて、私自身も内科医として実力をつけた後、地域医療に貢献できる機会を探していきたいと思うきっかけとなり、非常に有意義な時間を過ごすことができました。研修期間中ずっとお世話になった濵田部長をはじめ、非常勤の先生やスタッフの方々に感謝の気持ちでいっぱいです。ありがとうございました。