平成28年度 研修医(地域医療研修)
研修期間:H28.5

地域医療研修レポート

 私は丹後中央病院の消化器内科で地域医療研修をさせていただきました。丹後中央病院を選んだ理由としては、京都府内でなるべく京都市から離れたところで研修をしたいという思いがあったからです。

 大学病院で研修をしていると、医師の数が多く、専門的な検査も可能で、診療科も揃っているため、個々の科の専門性が非常に高く、またそれに集中できると感じていました。しかし、このような状況がどこへ行っても当たり前とは考えにくく、例えば地域の病院ではどのような診療が行われているのかということに興味がありました。

 丹後中央病院へ行ってみて大学病院では経験できないことを多々経験できました。

 まず最も驚いたことは、丹後中央病院の消化器内科の常勤の先生が一人しかいらっしゃらないということでした。当初は、常に10-20名程度の入院患者がいるなか、平日は毎日内視鏡検査も行われ、さらに消化器内科外来も毎日あるなかで、どのようにされているのか疑問で仕方ありませんでした。しかし、水曜日を除いては非常勤で他病院の先生がこられており、外来診察を行い、外来が終われば内視鏡検査も手伝っておられました。このような点でも他病院との協力というのは地域の医療において非常に重要だということを実感しました。しかしながら、複数の医師がいても常勤が一人であるということは、大きな負担であるということも感じられました。やはり非常勤の先生の外来に比べて常勤の先生の外来は患者数も多くなり全体の診察時間も長くなるようでした。常勤の先生の外来に陪席させていただきましたが、1日に100人弱もの患者の診察があり、朝から夜まで分単位で診察をこなしていく姿には正直驚愕しました。それだけの外来診察をこなしていくには、やはり他職種との連携・協力も重要であると感じました。外来には2人クラークさんが付いておられ、事務仕事に加え、阿吽の呼吸で検査や処方などのオーダーを手伝っておられ、医師が診察に集中できる体制が整っていることを実感しました。また、そのなかで病棟の患者の対応や診察なども行っていかなければなりませんが、病棟の看護師さんの能力も非常に高く、患者さんの病態の理解や、状態の評価もしっかりしておられ、医師の仕事は必要最小限になるよう協力関係があるように感じられました。大学病院にいても、他病院や他職種との連携は重要だと感じる機会はありましたが、丹後中央病院ではより強く密に他職種の連携や協力があり、その重要さを実感しました。それと同時に、地域の医師不足を実感し、それに伴う地域の医師の負担は計り知れないものがあり、医師の分配というのも考えていかなければいけない問題だと感じました。

 また、大学ではあまり見る機会がなかった症例や検査・処置も数多く見ることができました。外来の診察や入院患者でも、消化器疾患だけではなく一般内科としてCOPDや肺炎、関節炎などの方もおられ、幅広い知識が要求されるのだということを再認識しました。また、癌のterminal stageの方も複数入院しておられ、その際にどのような治療や接し方をするのかを傍で見させていただき、大変勉強になりました。また、大学病院では実際に内視鏡検査を見ることは少なかったのですが、ほぼ毎日内視鏡検査を見ることができ、少しは内視鏡の所見もわかるようになったと思います。ESDやEMRなどの処置も実際に複数回見ることができ、将来の診療科選択のうえでも非常に参考かつ勉強になりました。

 この他にも大学病院では経験できないことを数多く経験でき、素晴らしい研修となったと思います。丹後中央病院の皆様、ありがとうございました。