平成30年度 研修医(地域医療研修)
研修期間:H30.05

地域医療研修

 丹後中央病院消化器内科での1か月間の地域医療研修が終了しました。初めて京丹後を訪れ、たった1か月間で地域医療について学ぶのは非常に難しかったですが、短期間ながらも私が感じとったことを書かせていただきます。

@高齢の患者さんへの医療
 大学病院よりも明らかに高齢の方の割合が高いと感じました。検査、治療にあたり、年齢がポイントになることはよくありますが、丹後中央病院では内視鏡治療を行える体力が十分備わっている方が多く、90歳以上の方に施行することを知り、大学病院との違いを見つけました。

A地域の結びつき
 病院同士の結びつき:丹後中央病院は近くの病院はもちろんのこと、豊岡まで患者をドクターヘリで搬送するなど、京都北部、兵庫県北部の連携体制がとられていました。
 京丹後に住む人々の結びつき:鎮静下で内視鏡治療を施行する際、治療終了後に車の運転や一人での帰宅は危険であるため、必ず患者さんの帰宅手段が明確であることが前提です。ご家族のお迎えが多いですが、ある高齢の患者さんの場合、ご家族がその日不在のため、事前に近所の方に治療後迎えに来てもらうように頼んでいたとのことでした。お迎えが必要だから来てもらうという、ごく自然のことのようですが、何かあった時に家族ではない身近な人に頼ることができる環境づくりが地域でなされていることで、体調が悪い時に病院で診察を受けて早期発見・早期治療が可能となっているのではないかと考え、この地域の人々の結びつきに心打たれました。

B高水準の医療
 濱田先生の週間スケジュールに沿った1か月間の研修でした。水曜日の丸一日、金曜日の夜は外来、水曜日以外の平日は基本的に午前中に上部内視鏡検査、午後に下部内視鏡検査やERCP、EUSを行い、1日の予定が終了してから病棟回診という流れでした。
 外来で、検査では異常と診断されない体の不調を訴える患者さんに漢方薬を処方し、実際に内服した患者さんの体調が改善されたことに興味を持ち、漢方薬に関する本を先生からお借りして読むなど、漢方薬について学ぶきっかけとなりました。
 内視鏡検査の日は1日内視鏡室におり、病棟にあがる時間がなかなかとれないため、医療スタッフの方が検査をオーダーして、検査画像が届き次第先生に報告し、その画像を見て先生が処方や指示を出すことが自然に行われていました。研修医がいない病院で、そういった連携が日常的に行われているのを発見し、医療スタッフの積極性に衝撃を受けました。

上記の3点が、私が特に感じたことです。


今回、私は地域医療研修が始まる前に、2つ自ら目標を立てて研修に臨もうと考えました。それは、地域医療に触れて大学病院との違いを感じ取ること、もう一つは、たった1か月で決まらなくても良いので、研修医1年目の時に病棟業務に追われ考える時間がなかった、3年目からの自分の進路について考える1か月にするということです。

大学病院との違い:
 学生の時から大学病院で研修を受けており、今回地域医療研修で初めて、市中病院では日常的にどのような医療が行われているのかを知ることができました。地域に根づいた生活をされている患者さんが多いこと、スタッフの数が大学病院より圧倒的に少ないなかで救急患者が運ばれてきたときの連携体制がとられていること、他科との距離が近いことが大学病院と異なっていると感じました。

進路について:
 私は5回生の時の病院実習で消化器内科をローテートし、内視鏡検査・治療を見学した際、初めて見た内視鏡に魅力を感じました。その時から消化器内科志望となり、今回丹後中央病院の消化器内科で研修させていただきました。
 先生のご厚意で上部内視鏡を実際に触らせていただきました。将来的には内視鏡を自由自在に扱い、検査・治療をして患者さんの体調改善をお手伝いできるような医師になりたいと考えている私にとっては、大変貴重な時間でした。観察部位を常に視野の中心にもってくることがいかに難しいことかなど、見るだけではなく実際に内視鏡を動かさないとわからないことが多く、触らせていただく度に新たな発見をして知らないうちに喜んでいる自分に気づかされ、やはり私は消化器内科医になりたいのだと思いました。
 3年目からの進路について先生とお話しする機会もあり、今回の丹後中央病院での研修で濱田先生にお会いできたことは、今後の私に大きく影響していくに違いないと思いました。

 1か月間の研修を受け入れてくださり、ありがとうございました。今後ともよろしくお願い申し上げます。