平成30年度 研修医(地域医療研修)
研修期間:H30.12

地域医療研修

 私は現在京都大学附属病院にて初期研修医2年目として勤務しております。この度京都丹後中央病院で12月から約一月と大変短い時間でありましたが、地域実習期間で研修させていただきました。
外科系を希望しており、内科の知識がおろそかであると自覚しておりましたため、丹後中央病院ではローテートしたことのない消化器内科で学ばさせていただきました。研修内容としては、消化器内科外来での新規患者様の外来診察・入院に立ち会わせていただいたり、また手技面では上部消化管・下部消化管内視鏡検査・治療に参加させていただきました。

 研修させていただきまして何より驚きましたのはコメディカルの皆様との連携と距離の近さです。私は1年目は500床程度の市中中核病院に勤務し、2年目は大学病院と比較的大きな病院で各科の専門の先生方が幾人も在籍している病院で働いておりました。そのため各科では1人の先生が学会や外来・検査で不在で対応できない場合は他の先生がフォローを行い病棟業務を行うという形で勤務しておりました。対しこちらの病院では非常勤医師のフォローはあるものの常勤医師は一人しかおらず、看護師の方々が中心となり、検査や入院患者さんの状況の把握を行っておりその迅速な対応と深い知識に感服いたしました。外来や検査室でもその働きは如何なく発揮されておりましてクラークさん含め皆仲良く過ごされ、忌憚なく意見を言い合っておりチーム医療の重要性を肌で実感いたしました。巨大な病院では詳細に検査はできるものの鈍重なフットワークでしたが、こちらの病院では上下から横方向まで軽やかに意思疎通が行われ即座に結果が見れることに感動いたしまして、コミュニケーションの大切さを痛感させられました。

 内視鏡では上部・下部はもちろんのことESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)やERCP(内視鏡的逆行性胆管膵管造影)をはじめとし、緊急吐血患者に対する内視鏡的対応といった専門的手技まで見学させていただき、また上部内視鏡について操作方法を教えていただくなど大変実りあるご指導をいただきました。1年目に外科ローテートをした際には内視鏡画像所見について全くと言っていいほど理解できておりませんでしたが、この度の研修を通して少しは自信が持てるようになりました。

 また特に上部消化管内視鏡検査では患者さんに苦痛が少ないようにということで鎮静下での検査を行っておりました。私自身は上部内視鏡検査を受けたことはございませんが、受診したことがある同僚からは覚醒下だとしんどい検査であるとは聞いておりました。実際、若い方ほど咽頭反射がきつく大変なご様子でしたが鎮静下だとスムーズに苦痛なく検査が行えておりました。私も大学では体動のひどい場合のMRI撮影などで鎮静を行っておりましたが何分症例数はそれほど多くなく、呼吸抑制の怖さからあまり鎮静をしたくないものだと思っておりましたが、このように快適に苦痛なく行える現場を目の当たりにすると、しっかりと勉強し万全な準備の下に行うことは患者さんにとってプラスになるということを学ばせていただきました。

 外来では1日に60人を超える患者さんが来院されておりました。特に大学病院や大きい病院で勤務している際はすでに診断がついている患者さんやあるいは診断がつかないような症例、レアケースなどその専門領域について詳しく勉強をしていないとわからないような方が多く来られていましたが、こちらの病院では便秘・下痢をはじめとするCommon diseaseを主訴にやってこられる患者さんやあるいは地元に化学療法を初回導入した後の逆紹介されるような患者さんが多く来院されており、今まで自分が紹介した方々がどのような診察を行っておられ、どのような経緯をたどっていらっしゃるのか学ばさせていただきました。地域柄のためかあるいは超高齢化社会の波のためか高齢者の方々が多く、不定愁訴やあるいは基礎疾患に消化器以外の疾患を有しておられる患者さんがたくさん来院されておりました。消化器内科としてだけではなく一般内科として幅広い知識が要求され、限られた時間・医療資源の中でスピーディーに適切な判断な下での検査・治療が重要であるということを再認識いたしました。

 また指導医の先生は漢方にも通じており、西洋医学での治療一辺倒でありました私に新たな知識を授けていただきました。特に便秘や下痢症状というのはかなり頻繁に遭遇するのですが、ガイドラインは見ていたもののいまいち具体性がつかめず治療を行っておりましたが、今回の外来での実習とまた下部消化管内視鏡での所見も併せてよく理解することができました。今後の治療でも役立てていきたいと思います。
なんとなくアウトラインのみを学習していたもののその重要性をよく理解できていなかった初期研修1年目や大学病院での事務作業や検査・搬送などのこまごまとしてきた業務に忙殺されてきましたが、このたびの研修を通しましていろいろと学習する機会も頂けて充実した1月となりました。

 最後となりましたが、院長先生、ならびにM田先生を始めとする諸先生方、看護師さん、その他関わってくださった皆様は大変感謝しております。いろいろとご迷惑をおかけして大変申し訳ありません。一カ月間大変勉強させていただきました、誠にありがとうございました。