令和2年度 地域医療研修の感想
研修期間:2020.11

 丹後中央病院での地域研修では、座学と実践を非常にバランスよく学ぶことが出来たように感じます。 非常に多くのコモンな症例を経験することができ、毎日のように疾患に対する疑問は尽きることがなく、日々疑問と格闘する日々を過ごすことができました。
 指導医の濱田先生には疑問点を一つ一つご教授いただき色々なことを学ぶことができました。また、今までは漢方はあまり縁のない薬剤でしたが、使われている姿を見て興味を持ち様々な漢方の使用法やその背景にある解明されている範囲の分子機序などを僅かではありますが学ぶこともできました。今までの診療ではなぜ投与されているか分からず漫然と継続していた漢方でしたが、今後は継続するべきかの判断や場合によっては自らその調整にも踏み込むことができるようになればとも考えています。また、病棟での急変や消化器疾患の救急も多数経験することができました。普段の生活では考えられないほど多くの急変や救急症例を経験することができ、実践の度に学ぶべき課題を見つけ、学んだことを次に実践に活かすというサイクルを上手く作り上げることができたように感じました。
 また、仕事に対する精神的側面でも大きく影響を受けました。大学病院では良くも悪くも医師からのみならず、他職種や患者さんから「研修医」として扱われます。しかし、地域研修では「医師」として扱われていることを強く感じました。普段、判断は上級医が下すため、研修医は採血と検体搬送に勤しんでいれば問題ありませんが、地域研修ではその場で自分の判断が求められ、その通りに皆が動いていきます。嬉しく思う瞬間も少々はありましたが、勿論上級医の濱田先生のセーフティーネットがあるとはいえ、自分の判断で色々なことが決定していくことに責任を感じると同時に自分の知識不足に恐怖を感じることの方が多かったように思います。そのため、普段の研修において守られてしまっていることに甘んじてはならないのだなということも強く実感いたしました。病棟急変、救急症例で何が来ても良いように事前に準備をするようになったことも個人的には良い経験であったかなとも感じています。そして、普段大学病院で行うことはほぼあり得ないような病状説明を何度もさせていただき、医学知識だけでなく、患者さんの生活背景からどのような治療を望まれているか考えることの重要性を学ぶことができたように感じています。普段は診断をつけ治療方針を決めることができれば概ね合格点であったように思いますが、これからは生活背景や今後の希望などにも目を向けていければと考えています。
 丹後中央病院は想像していた地域研修とは異なり、地域だからできなくて困ることが少な かったように感じました。そのため、医療資源が乏しくその中でやりくりをするという地域研修ならではとも言える部分をもう少し経験できればとも感じました。大学病院とは異なり医師の数は少なく、コメディカルの方々との仕事の分担などはより洗練されている印象も受けました。 その他経験することができたこととして、個人的には救急車に乗っての搬送を経験することができました。いつもは受け入れる側ですが、送る立場を経験できたことも非常に刺激的な経験だったように感じます。今後は受け入れる側としてどのように準備をすればスムーズに診療にあたることができるかを考えるきっかけになりました。個人的な反省点ではありますが、研修の後半に緊張性頭痛に悩まされややパフォーマンスが落ちてしまいました。体調管理ができていなかったと反省すると共に、もう少し時間を作って内視鏡室に赴き、内視鏡を扱ったり学んだりする時間があったらなと感じています。1ヶ月という短い期間で非常に多くのことを学ぶことができ、非常に実りある地域研修であったように感じております。