内視鏡室のご紹介
当院の内視鏡室は、北近畿の中核となる「消化器センター」を目指すために重要な役割を担っています。
「楽な胃カメラ検査」「痛くない大腸カメラ検査」をモットーとして
「楽な胃カメラ検査」「痛くない大腸カメラ検査」をモットーとして技術の向上と共に麻酔の工夫を行ってきました。胃カメラは太いカメラを口から入れること自体に無理があるため、特に若者では「えずき」や「むせ」などが反射的におこりやすく非常にしんどい検査です。丁寧にカメラを操作することで苦痛をかなり軽減することは可能ですが、どうしてもしんどい患者さんや不安の強い患者さんには積極的に鎮静麻酔(睡眠薬麻酔)の点滴を用いることで寝ている間に胃カメラ検査を行い全く苦痛のない胃カメラ検査を行う体制を整えています。
「鼻からのカメラ」を用いる方法も有効で、睡眠剤を用いなくても比較的「えずき」がない胃カメラ検査を行うことができます。しかし細いカメラは画質が悪く小さながんを見落とす危険もある点と若い女性など鼻の細い方では鼻の痛みや鼻出血を起こし易いことが欠点です。
大腸カメラについては「前の病院で非常に痛いつらい検査だった」という声を良く聞きますが、当院ではカメラを力まかせに押すような操作を一切しない「無痛挿入法」を行っているため、ほとんどの方で麻酔なしに大腸カメラの検査を楽に行っています。手術後の癒着がありどうしても痛みが起こる方には麻酔薬を用いて痛みの軽減を行っています。
一人ひとりの患者さんのニーズに合わせて検査法を工夫する努力を重ね、最近検査を受けられた患者さんの大半からは「楽な胃カメラ検査だった」「大腸カメラも全然痛くなかった」とのお声をいただいています。
平成19年度と比べ、5年経った平成24年度では胃カメラ検査が1393件→2224件(約1.6倍)、大腸カメラ検査が679件→1209件(約1.8倍)に増えています。平成24年度は合計3641件の内視鏡検査を行うことができました。
最新の機器・より質の高い精密検査を
検査を楽に行うことだけでなく、最新の機器をいち早く導入し、より質の高い精密検査も行っています。食道・胃・大腸がんの分野では、拡大NBI内視鏡、超音波内視鏡(EUS)検査といった高度精密内視鏡検査を北近畿の中でもいち早く導入し、食道・胃・大腸の腫瘍の性質や広がりを的確に診断することで適切な治療に結びつけています。治療においても内視鏡的粘膜下層剥離術:ESDの治療をいち早く導入し食道・胃だけでなく大腸でも多数のESDを行い患者さんの負担を最小限にすることに成功しています。
また、膵臓がんや胆道がんといった本来診断の難しい病気に対してもERCP(内視鏡的胆管膵管造影検査)および截石(石取り)術やステント留置などERCP関連手技、超音波内視鏡(EUS)、EUS下穿刺細胞診(FNA)EUS下胆管ドレナージ(EUS-BD)といった高度な内視鏡検査・治療が行えます。ERCPは通常の消化器内科医でも検査が難しく、急性膵炎などの合併症が起こりやすい検査・処置ですが、当院では胆道・膵臓を専門とする消化器内科医が常時検査・治療を行うことで、高い成功率とERCP後の急性膵炎などの合併症を最小限に押さえることに成功しています。
さらに、シングルバルーン内視鏡の導入により小腸内視鏡や消化管手術後のERCPなどを積極的に行っています。
最後に、緊急内視鏡的止血術やERCPによる緊急胆道ドレナージ術といった緊急内視鏡治療にもいつでも対応できる体制を整えています。
全国レベルの質の高い医療水準で確実・スピーディーに
内視鏡関連のスタッフも非常に協力的で仲の良い職場です。スタッフ全員で患者さんの不安や苦痛をできる限り軽減することに取り組み、接遇・介助のエキスパートを目指しています。1例としてドクターと看護師・クラーク共同で「麻酔飴によるのど麻酔の研究」を行いました。これは消化器内視鏡の全国学会で発表し、非常に好評を得て全国から問い合わせが来ています(平成25年12月号の日本消化器内視鏡学会誌に論文が掲載されます。)。
また現在は更に、胃カメラ中の鎮静剤の使用に関して臨床試験を行い、楽に・安全に検査を行う方法をスタッフ全員の協力で研究しています。
胆膵ERCPの分野でも、的確な胆管挿入法を見出し、急性膵炎を起こさない数々の工夫を行っています。またERCPによる胆道ドレナージ術に関しても、適切なステントの選択や、新たなステントの開発を行っており、他院で胆管ドレナージに苦慮されておられる患者さんの治療の相談も寄せられています。
このように当院の内視鏡センターは患者さんの安心・安全・苦痛軽減を最大限に考えながら、消化器疾患の診断から治療までを「全国レベルの質の高い医療水準」で確実・スピーディーに行うことにこだわり続けており、これからもより良い検査・治療体制を発展させて行く決意です。
平成25年11月 消化器内科 M田暁彦
施設認定
・日本消化器病学会専門医制度関連施設
・日本消化器内視鏡学会専門医制度指導施設
内視鏡件数
検査・治療の種類 | H24.10~H25.9 | H20.1~H25.10 |
---|---|---|
上部消化管内視鏡検査(胃カメラ) | 計 2224例 | 計 11612例 |
┕ 食道ESD | ┕ 1例 | ┕ 9例 |
┕ 胃ESD | ┕ 30例 | ┕ 219例 |
┕ 上部止血術 | ┕ 19例 | ┕ 90例 |
┕ 胃瘻造設術(PEG) | ┕ 10例 | ┕ 115例 |
┕ 内視鏡的食道静脈瘤結紮術(EVL) | ┕ 5例 | ┕ 18例 |
┕ 上部消化管ステント | ┕ 4例 | ┕ 7例 |
下部消化管内視鏡検査(CF) | 計 1209例 | 計 5472例 |
┕ 大腸ESD | ┕ 26例 | ┕ 113例 |
┕ 大腸膜切除術(EMR) | ┕ 245例 | ┕ 848例 |
┕ 大腸ステント | ┕ 2例 | ┕ 3例 |
内視鏡的逆行性膵管造影(ERCP)関連手技 | 計 102例 | 計 591例 |
超音波内視鏡(EUS) | 計 106例 | 計 173例 |
┕ 超音波内視鏡下穿刺生検法(EUS-FNA) | ┕ 19例 | ┕ 21例 |
シングルバルーン内視鏡 | 計 19例 | 計 37例 |
内視鏡総件数 | 3641件 | 計 17850例 |
消化器内科 常勤医(内科専門医制度研修終了以降、消化器内視鏡学会専門医を目指す医師、消化器内科を専門とされる医師)を募集します
当院消化器内科では現在一緒に働く医師、特に内視鏡技術を磨きたい、内視鏡専門医を取得したいという医師を募集しています。
内視鏡検査をマンツーマンで1から指導し、1人あたり年間に上部消化管内視鏡検査1000件、下部消化管内視鏡検査500件ほどの経験を通して短期間で、「楽な上部消化管内視鏡検査」技術を、「痛くない」下部消化管内視鏡検査の非ループ挿入法の技術を習得できます。拡大NBI診断など消化器がん診断に必要な技術と知識を身につけます。
さらに、治療内視鏡検査も数多く施行しており、食道・胃・大腸ESDをはじめ、ERCPでは教科書では学べないような戦略的胆管カニュレーション方法や下部胆管・肝門部胆管・胆嚢へのドレナージ法、スマートなESTおよび截石術(スコープ挿入からEST、截石術終了まで15分程度で膵炎を起こさずに終了する技術)、胆膵および消化管超音波内視鏡検査およびEUS-FNA、EUS-BD(HGSなど)、小腸内視鏡および術後腸管のERCP、膵癌早期発見のための膵液細胞診(PDLF:膵管洗浄液細胞診やENPD留置下連続細胞診SPACE)などを研修できます。
また腹部エコー(肝胆膵だけでなく、消化管エコーも行います)の研修やエコー下の生検および各種経皮的ドレナージ(胆嚢ドレナージ、胆管ドレナージ、肝膿瘍・腹腔内膿瘍・後腹膜膿瘍ドレナージ)、がん化学療法、がんおよび各種疾患終末期に対する緩和医療、潰瘍性大腸炎など炎症性腸疾患IBDに対する様々な治療戦略、GERD・FD・IBS・慢性便秘症などのFGID:機能性胃腸症に対して、西洋薬と漢方薬を融合させ副作用を抑えて長期間の治療を見据えた薬物治療法など、消化器内科医としての基本的・専門的・先進的な診療が研修できます。
消化器内視鏡学会専門医、消化器病学会専門医が取得できます。 田舎の環境のなかにあっても、全国や世界の消化器病・内視鏡学会にも情報発信して行けるような消化器病・消化器内視鏡の診療技術を習得したい方、消化器内科だけでなく一般内科の幅広い知識と経験を得たい方にはぴったりの職場です。
当院は京都大学、京都医療センター、京都桂病院など各病院の新専門医制度専門研修プログラムの連携施設であり、初期研修の地域研修(上記以外にも関西電力病院など)、内科専門研修の連携施設としてこれまでも多数の研修医を受け入れています。
・初期研修医地域医療研修病院
・日本内科学会専門研修連携施設
・日本消化器病学会専門医制度関連施設
・日本消化器内視鏡学会専門医制度指導連携施設
を取得しております。その他の施設認定はこちらをご覧ください。
ぜひ一度見学にお越しいただき奮ってご応募ください。
主な消化器内視鏡治療手技
当院で行っている代表的な内視鏡治療の写真を提示します。
※ご注意※
実際の内視鏡写真が表示されます。
血など見ると気分が悪くなる方はご注意ください。
- 食道ESD:内視鏡的粘膜下層剥離術
- 胃ESD:内視鏡的粘膜下層剥離術
- 大腸ESD:内視鏡的粘膜下層剥離術
- 総胆管結石による、閉塞性黄疸・急性閉塞性化膿性胆管炎
緊急ERCPを行い、EST+截石術 - 食道静脈瘤:EVL(内視鏡的静脈瘤結紮術)