濵田暁彦医師 コラム No.109
2021/03/20(与謝野町くすぐるカード会発行「くすぐる」 vol.244 2021年4月号掲載)

『新型コロナワクチンの話~その2「副反応とワクチン対象者」』


 新型コロナのワクチン接種が一部の医療従事者から開始され、進捗状況や副反応の情報が報道され注目されています。ワクチンが大半の国民に接種されれば新型コロナに翻弄(ほんろう)される生活から解放されると期待が募(つの)りますが、専門家の意見でもまだあと1年ほどは現在の様なマスクや3密の回避といった予防行動が必要だということです。3月19日の時点で55万人が1回目のワクチン接種を終え、2万5千人余りが2回目の接種を完了しました。注目される副反応の状況が厚労省のホームページで発表されていますが、最も懸念されている「アナフィラキシー」という重症のアレルギー反応、つまり呼吸困難や血圧低下を来すような重篤なアレルギー反応が3月11日までに合計37例報告されています。特徴的なのは、37例中35例が女性で、男性は2名だけという点です。また3分の2の人が薬や食べ物のアレルギー、喘息、じんましんなどのアレルギー疾患を有していましたが、アレルギーや基礎疾患を全く持っていない人も3分の1ほどあり、必ずしも事前の問診だけでアナフィラキシーが起きそうかどうかはわかりません。またアナフィラキシーとは似ていて異なる「血管迷走神経反射」という、過度の緊張によって一過性の血圧低下、気分不良が出現する副反応もあり、判別が必要です。また2回目の接種の後では高熱や倦怠感といった風邪の様な症状がより強く出ることも報告されてきています。
 最近患者さんからの質問で「私は基礎疾患を持っていますが、コロナワクチンを受けても良いでしょうか?」と聞かれることが多いです。現在国内で使用されているファイザー社製コロナウイルスワクチン「コミナティー」の添付文書によると、ワクチン接種をしてはいけない=接種不適当者として挙げられているのは、①明らかな発熱を呈している者、②重篤な急性疾患にかかっている者、③本剤(このワクチン)の成分に対し重度の過敏症の既往歴のある者、④上記に掲げる者のほか、予防接種を行うことが不適当な状態にある者、の4つが挙げられています。
 ①の発熱がある人というのは、現在コロナウイルス感染症に罹っているかも知れず、②の重篤な急性疾患というのは、心筋梗塞や脳卒中、細菌性肺炎など、命に関わる急性の病気で現在治療中という方で、現在の急性疾患が落ち着いてからワクチン接種を受けると良いでしょう。それ以外の慢性的な心臓や脳、肝臓、腎臓、血液などの基礎疾患がある方は、接種後の副反応や経過観察に注意が必要ですが、ワクチンを打ってはいけないという訳ではありません。むしろ高齢者で基礎疾患のある方はコロナ感染症で重症になりやすく死亡率も高いために、日常生活が送れるくらい元気であれば可能な限り積極的にワクチン接種をするほうが良いと考えられます。

執筆
濵田 暁彦

1974年京都府宮津市生まれ。1993年宮津高校卒業。1年間浪人生活を京都駿台予備校で送り翌年京都大学医学部入学。2000年京都大学医学部卒業後、京都大学医学部附属病院内科研修を1年行う。2001年京都桂病院内科に研修医として赴任。2002年京都桂病院消化器内科医員となり、2007年同副医長。2010年故郷である丹後中央病院消化器内科部長として赴任。現在丹後中央病院消化器内科主任部長兼内視鏡室室長、他に京都大学医学部臨床講師(2015年〜)、宮津武田病院非常勤を務める。モットーは「楽な胃カメラ」「痛くない大腸カメラ」。早期癌の診断治療(拡大内視鏡・食道胃大腸ESD)、胆膵管内視鏡ERCP、超音波内視鏡EUS、EUS-FNA等が専門。機能性胃腸症:FDや過敏性腸症候群:IBS、便秘などで苦しむ患者さんの治療や、様々な不定愁訴に対しても西洋医学(総合内科)と漢方医学を融合させた医療を実践中。また老衰や認知症に伴う肺炎などの終末期患者さんの看取りや、各種がんの終末期緩和ケア&看取りをこれまで多くの患者さんに行い、安らかな最期を迎えられるようチーム医療で取り組んでいる。

所属学会・認定医、専門医
日本内科学会総合内科専門医、日本消化器病学会専門医、日本消化器内視鏡学会指導医・専門医、日本ヘリコバクター学会認定医、日本膵臓学会、日本胆道学会、日本臨床細胞学会、日本食道学会、日本肝臓学会、日本腹部救急医学会、日本時間生物学会、日本臨床腸内微生物学会、日本東洋医学会