濵田暁彦医師 コラム No.111
2021/05/20(与謝野町くすぐるカード会発行「くすぐる」 vol.246 2021年6月号掲載)

「新型コロナワクチンの話〜その4『2回目接種後の副反応とブースター効果』」


当初2021年3月下旬から高齢者のワクチン接種開始の予定と言われていましたが、予定より遅れて5月になりようやく接種が開始されました。私も集団接種を打つ側に応募しており当番が来たら打ちに行く予定です。
 先日私は医療者の先行接種の2回目を受けました。今回はその経験をお話します。前回コラムに1回目の接種の後は左腕の痛みが辛かったというお話を書きましたが、3週間後の月曜日に2回目の接種を同じ左上腕に受けました。接種の後しばらくは何事もありませんでした。夜になり軽い腕の痛みを感じましたが普通に眠ることができました。
 翌朝出勤してしばらく経った頃から体の暑さを感じるようになり、体温を測ると38.4度まで上昇していました。さらに体のだるさや関節痛、悪寒なども感じて腕の痛みはすっかり忘れてしまいました。発熱や倦怠感があっても元気に仕事を続ける必要があったので、まず風邪の初期に使用する「麻黄剤(まおうざい)」の一つ「葛根湯(かっこんとう)」を数時間おきに内服し、水分も普段より多めに摂ることで元気を保ったまま仕事を無事終えることができました。しんどくなればアセトアミノフェンという解熱剤も服用するつもりでしたが、数時間後には解熱したため私の場合は特に解熱剤を飲む必要はありませんでした。麻黄剤には葛根湯や小青竜湯(しょうせいりゅうとう)、麻黄湯(まおうとう)、麻黄附子細辛湯(まおうぶしさいしんとう)などがあり、その全てに含まれる主成分の「麻黄」や、麻黄附子細辛湯以外に含まれる「桂皮(けいひ):シナモン」は風邪の初期症状に対して、解熱するのではなくむしろ発熱・発汗を促して免疫力を高めることで感染症に対処するのと同時に体の元気を高める作用があります。

 2回目のワクチンでは、1回目のワクチンで作られたウイルス表面のスパイク蛋白に対する「抗体」をさらに増産させる「ブースター効果」というものを狙っています。これにより免疫力をより強く確実に付けるのです。これまでのワクチン接種の副反応報告を見てみると、高齢者よりも若者の方が、1回目よりも2回目の方が発熱などの副反応がより強く出る傾向があります。高齢者よりも若者の方が免疫力が強く、1回目よりも2回目の接種後の方が免疫反応が強く起こるために副反応も強いと考えられます。2回目のワクチン後に不快な発熱や倦怠感などが強く出るのも「抗体を大量に産生するブースター効果のためだ。実際ウイルスが感染しているわけじゃない。」と理解して乗り切るしかありません。
 しかし発熱や免疫の活性化によって、脱水症や血栓症などを発生させる危険もありますので、水分を十分に摂り、症状がつらい場合には解熱剤や漢方薬などを使用して症状を緩和する対症療法を行うと良いでしょう。ちなみに私の場合は免疫反応が強く起こったのか、接種後4-5日の間は接種部位に大きな発赤疹が出現して関節痛や下痢、倦怠感が持続したために、解熱後は麻黄剤に続けて使用する「柴胡剤(さいこざい):柴胡桂枝湯(さいこけいしとう)」を処方してもらい元気を保ちながら無事に仕事を続けることができました。

執筆
濵田 暁彦

1974年京都府宮津市生まれ。1993年宮津高校卒業。1年間浪人生活を京都駿台予備校で送り翌年京都大学医学部入学。2000年京都大学医学部卒業後、京都大学医学部附属病院内科研修を1年行う。2001年京都桂病院内科に研修医として赴任。2002年京都桂病院消化器内科医員となり、2007年同副医長。2010年故郷である丹後中央病院消化器内科部長として赴任。現在丹後中央病院消化器内科主任部長兼内視鏡室室長、他に京都大学医学部臨床講師(2015年〜)、宮津武田病院非常勤を務める。モットーは「楽な胃カメラ」「痛くない大腸カメラ」。早期癌の診断治療(拡大内視鏡・食道胃大腸ESD)、胆膵管内視鏡ERCP、超音波内視鏡EUS、EUS-FNA等が専門。機能性胃腸症:FDや過敏性腸症候群:IBS、便秘などで苦しむ患者さんの治療や、様々な不定愁訴に対しても西洋医学(総合内科)と漢方医学を融合させた医療を実践中。また老衰や認知症に伴う肺炎などの終末期患者さんの看取りや、各種がんの終末期緩和ケア&看取りをこれまで多くの患者さんに行い、安らかな最期を迎えられるようチーム医療で取り組んでいる。

所属学会・認定医、専門医
日本内科学会総合内科専門医、日本消化器病学会専門医、日本消化器内視鏡学会指導医・専門医、日本ヘリコバクター学会認定医、日本膵臓学会、日本胆道学会、日本臨床細胞学会、日本食道学会、日本肝臓学会、日本腹部救急医学会、日本時間生物学会、日本臨床腸内微生物学会、日本東洋医学会