濵田暁彦医師 コラム No.102
2020/08/20(与謝野町くすぐるカード会発行「くすぐる」 vol.236 2020年9月号掲載)

「肩凝り(こり)」の話〜その3:「カイロ?整体?指圧?リフレ?整骨?の違いとは?」


前回は按摩(あんま)・マッサージといった古い起源を持つ手技療法につき説明しました。今回はさらに新しい手技療法を整理して行きます。
19世紀後半から20世紀前半に相次いでアメリカで始まった「オステオパシー」「カイロプラクティック」「スポンディロセラピー」はアメリカ3大手技療法と呼ばれ明治から大正時代に日本に伝わりました。

 オステオパシーは体の筋、関節、神経、血液などの機能障害を幅広く対象としてこれらを矯正する療法で、アメリカでは西洋医学医師(M.D.)と同等のドクター・オブ・オステオパシー(D.O.)として正式な国家資格として認められています。
 カイロプラクティックは脊椎のずれに注目して矯正する療法で、時には体の可動範囲を超えて脊椎関節を動かすこともあり、オステオパシーより怪我の危険はやや高めです。カイロプラクティックはアメリカ、ヨーロッパ各国をはじめ世界の40か国で法的に認められ全世界に普及している手技療法ですが、日本では現在オステオパシー同様、法的には認められていません。
 スポンディロセラピーは脊髄神経を刺激し内臓の働きをコントロールする療法ですが現在では衰退しています。明治から大正時代の日本には古来の手技療法が約300種類以上もあり「療術」と言われていました。それらとこのアメリカ3大手技療法を統合して日本では「整体」や「指圧」が生まれ発展してきました。今でも整体に行くと「脊椎の歪み・骨盤の歪みの矯正」などと言われ、カイロプラクティックやオステオパシーの理論が根底にあるとわかります。

 指圧は指先や手掌でツボを圧迫する手技療法で国家資格です。昭和初期に浪越徳次郎(なみこしとくじろう)がリウマチを患う母親の苦痛を軽減するために生み出し、「指圧の心は母心」というお馴染みのフレーズでも有名です。指圧は浪越が来日中の有名女優:マリリン・モンローや、伝説のプロボクサー:モハメド・アリなど海外の著名人にも治療を行ったことから世界的にもSHIATSU(シアツ)として普及しました。
 また「リフレクソロジー」もアメリカが発祥で、リフレックス=反射という語源から来ており、リラックス=寛(くつろ)ぐとは違います。足裏の特定の部位(足裏反射区,足つぼ)が体の各臓器に対応しており、その部位を押すことで反射的に各臓器の改善を図ると考える療法で、イギリス・台湾などで広まり日本にも伝えられ、主に駅内や百貨店内などで気軽に利用できることからサラリーマンやOL(今はビジネス・パーソンと言います)、主婦などに広まりました。従ってリフレクソロジーの「足つぼ」は、中国医学の経絡経穴思想から発祥したあん摩や指圧の「ツボ」とは全く関連がありませんし、フランス由来のマッサージとも関係ありません。
 最後に柔道整復師(整骨・接骨・ほねつぎ)という国家資格ですが、柔道の歴史は戦国時代に遡り、柔道には敵を殺傷する技「殺法」と、外傷を治療する技「活法」があり、このけがを治す活法が発展して柔道整復術が体系化されました。

 このように、普段あまり違いを意識していなかった、あん摩・マッサージ・カイロ・整体・指圧・リフレ・柔道整復といった手技療法も、その方法や理論には様々な特徴があるのです。

執筆
濵田 暁彦

1974年京都府宮津市生まれ。1993年宮津高校卒業。1年間浪人生活を京都駿台予備校で送り翌年京都大学医学部入学。2000年京都大学医学部卒業後、京都大学医学部附属病院内科研修を1年行う。2001年京都桂病院内科に研修医として赴任。2002年京都桂病院消化器内科医員となり、2007年同副医長。2010年故郷である丹後中央病院消化器内科部長として赴任。現在丹後中央病院消化器内科主任部長兼内視鏡室室長、他に京都大学医学部臨床講師(2015年〜)、宮津武田病院非常勤を務める。モットーは「楽な胃カメラ」「痛くない大腸カメラ」。早期癌の診断治療(拡大内視鏡・食道胃大腸ESD)、胆膵管内視鏡ERCP、超音波内視鏡EUS、EUS-FNA等が専門。機能性胃腸症:FDや過敏性腸症候群:IBS、便秘などで苦しむ患者さんの治療や、様々な不定愁訴に対しても西洋医学(総合内科)と漢方医学を融合させた医療を実践中。また老衰や認知症に伴う肺炎などの終末期患者さんの看取りや、各種がんの終末期緩和ケア&看取りをこれまで多くの患者さんに行い、安らかな最期を迎えられるようチーム医療で取り組んでいる。

所属学会・認定医、専門医
日本内科学会総合内科専門医、日本消化器病学会専門医、日本消化器内視鏡学会指導医・専門医、日本ヘリコバクター学会認定医、日本膵臓学会、日本胆道学会、日本臨床細胞学会、日本食道学会、日本肝臓学会、日本腹部救急医学会、日本時間生物学会、日本臨床腸内微生物学会、日本東洋医学会