濵田暁彦医師 コラム No.108
2021/02/20(与謝野町くすぐるカード会発行「くすぐる」 vol.243 2021年3月号掲載)

『新型コロナワクチンの話~その1「ワクチン接種後も感染予防が大切」~』


 2021年2月17日ようやく日本でも本格的に新型コロナウイルスのワクチン接種が開始されました。ワクチン接種の対象となるのは16歳以上で、まず初めは最も感染リスクが高い「医療従事者(全国で約370万人)」が対象です。その後は、現在の想定では4月頃から重症化リスクが高い「65歳以上の高齢者:全国約3600万人」の接種が始まる予定ですが、医療従事者の10倍の人数があるためかなりの時間がかかりそうです。続いて「基礎疾患のある人(約820万人)」、「高齢者施設職員など(約200万人)」、ここまでで約5千万人と対象者の半数となります。その後にようやく16歳以上の一般国民(約5千万人)に対象が広げられる予定です。対象者にはクーポン券が配布されワクチンの接種は公費で行われます。副作用に対しても「健康被害救済制度」によって医療費が助成される制度が設けられています。16歳以上に限るとされているのは、治験のデータ(有効性と安全性)が16歳未満(日本では約1600万人)では十分に得られておらず、一方子供達は重症化するリスクがほとんどないためと考えられます。
 現在ワクチンは海外製のみであり輸入に頼らざるを得ませんが、世界各国で取り合いとなっているため確保が困難な状況です。外国との交渉力「外交」が重要で2回の外務大臣経験のある河野氏が新型コロナワクチン担当大臣に任命されました。第1便では45万回分(約22万人分)が届きました。第2便でも約40万回分(20万人分)が届く予定ですが、1回で20万人分届くとすると日本全体に行き渡るためには、単純に計算すると約500回の輸入が必要であり本当に大変な一大プロジェクトであると言えます。
 1番始めに輸入されたのはファイザー社の「コミナティ」という注射薬のワクチンですが「mRNA」という新しいタイプのワクチンで、これを筋肉内に3週間の間隔で2回注射することになっています。現段階で分かっている情報では2回の接種で95-98%、1回の接種でも85-90%の「発症を予防する効果」があるとされています。そのためワクチン供給と医療体制が逼迫した現状では「1回接種でも良いのでは?」との意見も出ています。95%の効果とは、ワクチンを打たない場合は感染をすれば100人が発症するところ、ワクチンを接種することで95人は発症せずに無症状のままで、5人だけが発症(発病)するということになります。またワクチンでは「重症化防止」の効果も確認されており、死亡される方も95%以上減少すると期待されています。またウイルスに対する免疫力ができる事で「体から早期にウイルスが消失する」と考えられ、結果として他人への感染を減らすことができるのです。しかし勘違いしてはいけないのは「発症を予防」できても「感染は予防できない」という点です。
 ワクチンを受けていても感染はこれまでと同じ危険性で起こります。そして感染しても無症状のままで知らないうちに他人に感染を広げてしまう危険は残ります。そのためワクチンを接種した後であっても、これまで通りの感染防止対策、つまりマスク・手洗い・換気をして、3密を避ける行動は引き続き必要です。多くの人がなるべく早くにワクチンを受けて世界的流行「パンデミック」が収束してきたあかつきに、ようやく以前の様な平穏な日常生活が戻ってくると期待できます。

執筆
濵田 暁彦

1974年京都府宮津市生まれ。1993年宮津高校卒業。1年間浪人生活を京都駿台予備校で送り翌年京都大学医学部入学。2000年京都大学医学部卒業後、京都大学医学部附属病院内科研修を1年行う。2001年京都桂病院内科に研修医として赴任。2002年京都桂病院消化器内科医員となり、2007年同副医長。2010年故郷である丹後中央病院消化器内科部長として赴任。現在丹後中央病院消化器内科主任部長兼内視鏡室室長、他に京都大学医学部臨床講師(2015年〜)、宮津武田病院非常勤を務める。モットーは「楽な胃カメラ」「痛くない大腸カメラ」。早期癌の診断治療(拡大内視鏡・食道胃大腸ESD)、胆膵管内視鏡ERCP、超音波内視鏡EUS、EUS-FNA等が専門。機能性胃腸症:FDや過敏性腸症候群:IBS、便秘などで苦しむ患者さんの治療や、様々な不定愁訴に対しても西洋医学(総合内科)と漢方医学を融合させた医療を実践中。また老衰や認知症に伴う肺炎などの終末期患者さんの看取りや、各種がんの終末期緩和ケア&看取りをこれまで多くの患者さんに行い、安らかな最期を迎えられるようチーム医療で取り組んでいる。

所属学会・認定医、専門医
日本内科学会総合内科専門医、日本消化器病学会専門医、日本消化器内視鏡学会指導医・専門医、日本ヘリコバクター学会認定医、日本膵臓学会、日本胆道学会、日本臨床細胞学会、日本食道学会、日本肝臓学会、日本腹部救急医学会、日本時間生物学会、日本臨床腸内微生物学会、日本東洋医学会