アレルギー性鼻炎 (特に難治性鼻閉に対するレーザー手術について)
アレルギー性鼻炎はほこり、ダニ、花粉などを原因とし、主に鼻の粘膜をアレルギー反応の場としてくしゃみ発作、鼻水、鼻づまりを主症状とする病気です。10〜15%の人がかかっており、10年間で5倍増えていると言われています。住居の変化(じゅうたん、ベットなど)、食生活の変化(肉食化)、原因物質の増加、大気汚染、ストレスなどが原因と言われていますが、いずれにしても文明病の1つと思われます。いろいろな抗アレルギー剤が開発され、それなりに症状の改善に役立っていますが、通年型鼻アレルギーのしつこい鼻づまりは最も治療に難渋します。
根本的な治療ではありませんが、この様な鼻づまりに対して手術(下鼻甲介粘膜切除、電気凝固、レーザー、薬品の塗布)を行うことがあります。
当院では1回で日帰りの治療が可能、効果が十分でない場合は他の治療が可能といった理由で、まずレーザー(YAG)治療を行っています。鼻づまりの一番の原因となっている下鼻甲介の粘膜を焼くことで、この部分のアレルギー反応がおこりにくくなります。麻酔は鼻の中に綿かガーゼにしました局所麻酔薬を鼻の中に30分くらい置いておくだけです。下鼻甲介の後端までしっかり焼けるように鼻内視鏡で見ながら操作を行います。一時的に手術後7〜10日間は鼻が完全に詰まりますが、約2週間で改善します。
効果は治療1年後で鼻づまりは80〜90%、くしゃみ、鼻水には70〜80%改善します。ただだんだんと元に戻ってくる場合が多く、治療3年後では20〜30%効果が落ちるといわれます。また子供でも10歳前後から手術可能ですが、大人に比べやや効果は落ちます。また鼻中隔彎曲を伴っている方はこれ自体も鼻づまりの原因になりますので、彎曲のひどい方はやはりレーザー手術だけでは効果が少なく、彎曲の手術も必要となります。
ただ薬物治療で効果がない場合、年余に渡って薬を飲み続け、薬害などの心配をされる方は試みて良い方法ではないかと思います。
耳鼻咽喉科 田中寛